買い手とのタッチポイント(コンタクトポイント)が増えるうえで求められるのは“オム二”、ラテン語であらゆる、すべてのを意味する形態です。買い手が訪れるあらゆるチャネルから、シームレスなショッピングができるようサポートしなければなりません。それゆえパソコンのウェブサイトのみで営業を行う従来のECサイトは、昨今の市場シェアで勝つことは難しくなってきています。
シングル、マルチ、オム二、それぞれのチャネルの違いとは?
シングルチャネル – 基本のビジネス
シングルチャネルはもっとも基本的でベーシックな営業形態です。売り手はウェブサイトまたはマーケットプレイスなど、ひとつのチャネルのみを通して商品を売ります。 店舗のみで販売を行い、買い物をするためにはそこへ赴くしかない場合もこれにあたります。
マルチチャネル – すでに時代遅れ?
その名前が示す通り、マルチチャネルはいくつかのタッチポイントを通して販売を行います。多数の販売経路があることで、シングルチャネルと比べて当然より多くの購買が見込めます。 ところがマルチチャネルの場合、それら複数のチャネルはそれぞれ独立しており、例えばインスタグラムなどのソーシャルメディアを通して購入した商品を店舗で受け取るなどといった連携は成り立っていません。
ある意味それぞれのタッチポイントはその境目が曖昧であるほど良く、買い手がその違いを感じることなくスムーズに行き来して買い物をすることができるのがベストであるといえます。
オムニチャネル – 新しいアプローチ
先述の通り、マルチチャネルではそれぞれに独立した販売経路があるのに対して、オムニチャネルでは複数の販売経路が一元化されています。実店舗やウェブサイトなど、どのタッチポイントから買い手がアクセスしても商品の同じ情報を得ることができ、購入もシームレスです。すべてのチャネルを一元化することで、売り手はより多くのアクセス数と購買チャンスを得ることができ、引いては売り上げの向上につながっていきます。ヘッドレスコマース は、これを実現するための一つのアプローチになります。
具体的には、マクドナルドがオムニチャネルの良い例です。カウンターとドライブスルーでの購入に加え、ウェブサイトまたはアプリから購入した上で、商品の受け取りまたは配達のオプションを選ぶことができます。
他にもウォールマートやテスコなどの海外スーパーマーケットでもオムニチャネルは取り入れられています。ウォールマートでは買い手がネット上でバーチャルの買い物かごを作成し、実店舗にて現金で支払いを行うことができます。クレジットカードを持っていない顧客にも対応することができる上、ウェブサイトへのアクセス数を上げることが可能になります。
また、実店舗とオンライン上の店舗との組み合わせもオムニチャネルの一つの例です。スーパーマーケットの店舗に商品のQRコードが設置されており、それらを読み取って注文することでその日中に家まで配達するというシステムです。商品の在庫を一元管理することで、実際の店舗に商品を置く必要がなくなります。
結論
似ているように思えるマルチチャネルとオムニチャネルですが、実際には購買のアプローチに大きな違いがあります。一見複数のチャネルを用意することで購買のチャンスを上げると思われるマルチチャネルですが、オムニチャネルではそれら複数のチャネルを統合することで、よりシームレスなショッピングを買い手に提供することができます。買い物のプロセスにおける手間や障害をなくすことで買い手は彼らの欲しい商品によりフォーカスすることができ、より良いサービスを提供することができるでしょう。