複数のバリエーションを持つ商品をECモールに出品する際、ひとつのリスティングにまとめるか、バリエーションごとにリスティングを作るか選ぶことができます。どちらがより正しい選択か、この記事ではそれぞれのメリット、デメリットを解説していきます。
ネットショップで売られている商品の多くは、さまざまななバージョンがあります。Tシャツであれば違う色や違うサイズ、ネックレスであれば違う宝石など、同じデザインであっても違う商品です。ECモールで出品する際、ひとつのリスティングにすべてのバージョンをまとめるか、バージョンごとに出品するかを選ぶことができます。
あなたのオンラインストアに合った選択はどちらでしょうか?
バリエーションを含んだリスティング
例えばEbayでは、ほとんどのカテゴリにおいてバリエーションを含んだリスティングの作成ができます。サイズや色、タイプなどの属性を5つまで追加でき、その属性ごとに50個までバリエーションを持たせることが可能です。つまり、トータルで250個のバージョンの商品を一つのリスティングにまとめることができるのです。
メリット
1. より多くのオプションで売り上げアップ
ネットショッピングをしている人の多くが、ブラウザーと呼ばれるウィンドウショッピング状態の買い物客です。これと決めた特定の商品はなく、なんとなくこんなものが買いたい、程度であったり、またはただ暇つぶしにサイトを見ているだけだったりします。そんな買い物客にとって、ブラウザバックなどのプロセスなしに、ひとつのリスティングで多くのバージョンが見られるこのオプションは最適です。さらにバージョンが多くある商品のリスティングは、在庫が管理されている印象もあるため信用度が高く、転換率も上がります。
またこの場合、バージョンごとに違う値段を設定することも可能なため、値段による売れ行きの違いを見てベストな値段設定に役立てることもできます。
2. 複数商品のまとめ買い
1バージョンのみを販売しているショップでは他の商品に目が行きにくいのに比べて、複数バージョンを販売しているショップからは別の色など複数商品のまとめ買いが起こりやすくなります。
また、ECモールからの評価が上がるため、検索結果の表示が上位に上がるというメリットもあります。
3. 検索結果の向上
バージョン別商品を取り扱うリスティングは1バージョンのみのリスティングよりも売り上げが高いため、ECモールからの評価が高くなり検索結果のランキングが向上します。もちろんランキング上位の商品はよりクリックされやすいため、売上をさらに向上させるという好ループを生むことができます。
4. 売り上げ記録
全てのリスティングには売り上げ記録があります。その記録が高いほど、より多くの人がその商品を見られるよう検索結果の上位に表示されるようになっています。
5. 投稿コストの削減
上述の通り、ebayでは250通りのバージョンをひとつのリスティングにまとめることができます。リスティングは投稿ごとに料金がかかるため、その点でもコストを削減することができます。
デメリット
1. 商品タイトルと商品説明
商品タイトルは、買い手が一番先に見る非常に重要なものです。そのためタイトル作成にはさまざまな工夫が必要です。ではもし一つのリスティングで複数のバージョンを作るとしたら、一つしかないタイトルはどうしたら良いのでしょうか?最適化の観点からはベストなタイトルではなくなってしまいますが、細かい属性(サイズや色など)を省いた全てのバージョンに共通の情報を入れましょう。
同様の問題が、商品説明と商品特性にも言えます。どちらも正確かつ関連性の高い情報を提供することが大切ですが、ここでも全バージョンに共通の情報しか書けません。バージョンによって異なる情報をいれてしまうと混乱のもとになったり、このバージョンでは説明文と違うものが届いたなどの悪いレビューに繋がりかねません。
リスティングのタイトルにサイズや色、タイプなどバージョンによって異なるような特性を入れてしまわないよう、キーワード管理ツールのブラックリストを使って省くことで、余計な混乱を防ぐことができます。
2. 商品イメージ
1バージョンのみのリスティングではシンプルな商品イメージですが、複数バージョンの場合、特に色違い商品などはすべてのバージョンを載せるよう気をつけなければなりません。別々の画像を載せることも、一つの画像に全バージョンを並べることも良い方法です。
ここでも管理ツールを活用して、リスティングに適した画像を選択しましょう。
1バージョンのリスティング
メリット
1. シンプルなプロセス
まず第一に、シングルバージョンのリスティングの方がプロセスは簡単です。デフォルトの商品タイトル、説明文、商品特性を使って複数のリスティングを同時にアップすることができます。
2. タイトルのキーワード
また、1バージョンのリスティングはタイトルや商品説明に使えるキーワードの自由度も上がります。より詳細に富んだ、効果的なキーワードをそれぞれのバージョンに使うことができます。
デメリット
1. コストパフォーマンス
ECモールではそれぞれのリスティングの投稿に料金がかかります。そのため、複数バージョンのリスティングを個別にアップする場合はそのリスティングごとのコストがかかってしまいます。また、セラーのステータスによっては多すぎるリスティングの投稿にはECモールから制限がかかってしまうこともあります。
2. 閲覧数
複数バージョンをまとめたリスティングに比べて、1つ1つのリスティングの閲覧数は分散されて低くなります。その特定の商品を探している買い手のみがそのリスティングをクリックするからです。これがリスティングの売り上げ履歴に影響を及ぼせば、検索結果のランキングも下がってしまいます。
3. 売り上げ低下の可能性
ブラウザーというウィンドウショッピング状態の買い物客については前述しましたが、さまざまなバージョンを彼らに見せることは購買の可能性を上げるチャンスです。
ブラウザーは、同じ商品の別バージョンを見るためにブラウザバックしたりクリックしなおしたりといった多くの動作を行いません。別バージョンを気にいる可能性を残したまま別のセラーのリスティングに去ってしまうでしょう。
4. ECモール
ECモールがより好むのは複数バージョンのリスティングであることは前述の通りです。より高い転換率、そして売り上げをもつリスティングが優遇されます。
結論
今回の記事では一種類のバージョンのリスティングと複数のバージョンのリスティングを比較しました。複数バージョンをまとめることのメリットは明確だったのではないでしょうか。サイズや色が複数バージョンある商品を出品する売り手は、一つのリスティングにまとめることでより高いパフォーマンスが見込めます。