例を挙げる前にそもそもサイトナビゲーションとは何かおさらいしましょう。売り手が商品をECモールまたはECサイトにアップする際、色やサイズなどといった属性をタグ付けする段階があります。 このタグ付けが正しく行われていれば、どれだけ細かく絞り込んで検索されても商品は検索結果に表示されます。ですがここでよくあるように買い手がタグ付けをし忘れてしまうと、商品は「その他」に分類されてしまい、絞り込みの検索結果に表示されなくなります。Ebayのナビゲーションバーはタグ付けの重要さがよく分かる良い例です。「ジャケット」を探しているとします。915万以上の商品の中から条件によって属性を選び、絞り込み検索を行います。
上の画像のNot Specified(詳細なし)はその他にあたります。つまり900万の商品のうち、その15%以上が「色」のタグ付けをされていないのです。 また、ジャケットにとって非常に重要な「形」も同様に、10%以上がタグ付けされていませんでした。
Ebayでこれならもっと小さなECモールはどうなっているでしょうか。Ebay.de(ドイツ版)を見てみましょう。Tシャツを検索すると2000万以上の検索結果が出ます。そこから絞り込み検索のためのナビゲーションバーを開いてみます。
“Größe (サイズ)”をタグ付けし損なっているために、計45%が検索結果から省かれています。もはやエラーを疑いたくなるほどですが、“Farbe (色)”のタグを見てみると同様に、タグ付けされなかった50%の商品が結果から抜け落ちていました。
タグ付けは売り手が出品する際に気を付けなければならないのはもちろん、ECモール側も配慮すべき問題です。個々のショップの売り上げが下がるということは、モール自体の売り上げ低下にもつながってくるからです。
これまでECモールを例に見てきましたが、ECサイトではどうでしょうか? IKEAで「ベッド」を検索してみましょう。985点の商品のうち、サイズの属性で絞り込み検索を行うと、130点のみが結果に出ました。つまりサイズのタグ付けがされているのはたった15%のみということになります。
もちろんIKEA以外にも、Home Depot など大手のECサイトでタグ付けのミスが多く見受けられます。「ドリル」を検索した場合、6000点の商品のうちコード、コードレスで絞り込みすると結果に出たのはわずか23%でした。タグ付けのされなかった残りの商品たちは検索結果に現れません。どれだけ大きな売り上げが損なわれているか明確ですね。
逆にタグ付けの重要性を理解して最善の努力をしているECサイトもあります。Booking.comなどがその例です。
8月の休暇にイタリア、ヴェニスでの週末を検索すると、2000件以上のホテルが検索できます。ですが下の画像を見るとそれぞれの属性の合計が2000を上回ることがわかります。それは多くの商品(ホテル)が、一つ以上の属性にタグ付けされているためです。つまり、属性の総合が検索結果の総合を上回ればタグ付けがきちんと行われている証拠だと言えるでしょう。例えばひとつのホテルが、プール付き、朝食付き、キャンセル料無料であればその3つ全ての属性に当てはまります。タグ付けを多く行うほどその商品(ホテル)が検索結果に現れる率は高くなり、絞り込み検索でも結果がきちんと表示されます。
タグ付けを行って初めて、絞り込み検索のためのナビゲーションはきちんと機能します。ECモールにおける商品の露出を高めるだけでなく、商品が検索結果から漏れてしまうことも防げるでしょう。 非常にシンプルなことですが、タグ付けを行えば行うほど売り上げも上がるのです。