ECモールでカテゴリ構造を立てた際にもっとも大切なのは、テストをすることです。ユーザーが商品を探すのにかかった時間と行程の数から、ツリー構造の良し悪しや商品の探しやすさをはかることができます。
今回の記事は、前回の記事の続きになります。
前回解説した通り、ツリーのテストとはカテゴリ構造がうまく機能しているかのチェックをすることです。やり方は簡単で、必要なのはカテゴリ構造、ユーザーが分配するのに必要な商品のリスト飲みです。このテストを行うことで、複数のユーザーからのデータ、有用なインサイトとデータ活用の傾向を得ることができます。
データを集める方法
何よりも大切なのはユーザーをよく知ること。テストの被験者となるユーザーはターゲット層を代表するような人たちであることが必須です。例えばレディースファッションのテストをするのに、男性被験者を用いても意味がありません。
ツリーテストは、テストを行うユーザーが多ければ多いほどデータを集めることができ、パターンや傾向を知ることができます。最低でも50人ほどのユーザーが必要になります。さらに、もし二つのツリーを比較したい場合は、それぞれのグループが別のツリーをテストするため必要となるユーザーも倍になります。
ユーザーの負担も考え、タスクの数は10個以内におさえましょう。質問の数が多すぎると、ユーザーの負担が上がってテストの結果にも影響が出ます。また、サイトを20回訪れたことのあるユーザーと、初めて訪れるユーザーとでは、カテゴリやナビゲーションの操作の仕方も当然変わってくるからです。もし商品数が10点を超える場合は、ユーザーの数を増やしたうえで一人一人のタスクは10個以内におさえ、ユーザー間で商品がランダムに回るようにしましょう。
また、完成したツリーテストをテストグループ全体に送る前に、数人のユーザーでパイロット版を行います。ミスやエラーなど、テストを本格的に行う前に修正することができます。
結果をチェックする
テストが終わったら結果を見てみましょう。以下の基準で結果を精査できます。:
このうち、どれによりフォーカスして結果を見るかは、ツリーテストで得たい結果によって変わってきます。
成功率
成功率は、商品を正しいカテゴリに分配できたユーザーの率をさします。これをはかるためには、「正しいカテゴリ」の正解をタスクごとに事前に設ける必要があります。例えば100人中87人のユーザーが正解のカテゴリを選択したら、成功率は87%となります。
もちろん成功率が高いに越したことはありませんが、このデータを有用なものにする秘訣はそれよりも、なにが「良い成功率」で「素晴らしい成功率」なのかの基準を決めておくことです。これはそれぞれのタスクにも、テストそのものにも同じことが言えるでしょう。
ツリーテストにおいて、ユーザーがサイトにあるナビゲーション機能(検索バーや、ナビゲーションメニューなど)を見たり使ったりしないように気を付けましょう。テストでは、できる限りシンプルな基本のナビゲーション構造を試してもらうことが大切です。
例:
実際のサイトではナビゲーションがあったり、デザインもわかりやすかったりするため、ツリーテストの成功率は、実際のサイトで行うテストよりも低くなる可能性があります。
ではそのテスト結果が良いかどうかの客観的な基準はどこにあるのでしょうか?:
この例では、靴ひもを探すタスクの正解率はポータブルスピーカーを探すタスクよりも高くなっています。しかし、ポータブルスピーカーの正解は靴ひもよりもさらに一段階深いレベルにあるため、成功率の正確な比較はできません。
近い条件で比較をするためには、似たカテゴリーのレベルの商品で比較するか、もしくは同じタスクの違うレベルで比較すると、どちらがよりユーザーにとって分かりやすいかが調べられます。
正確性と時間
テストは結果だけでなく、ユーザーがそこにたどり着くまでの過程も同様に大切です。タスクを完成するまでににかけた時間と、一度で正解にたどり着いたユーザーの数による正確性をもってそれをはかることができます。
正解率が高いタスクで正確性が低い、というのは実はよくあること。もしカテゴリがうまく構築されていないと、ユーザーはサイトを洗いざらいして目当ての商品を探さなければなりません。最終的に見つけられたとしても、そこまでにかかった手順が多ければ多いほど、正確性は低くなっていきます。
時間と正確性を加味して結果を見たときに、正解率だけでは見えなかったユーザーの動向が見えてくるのです。
結論
ECモールでカテゴリを構築したら、欠かせないのはパフォーマンスのテストです。テストの結果が出たら、その数字に着目してみましょう。正解率だけにとらわれず、何度トライしたか、どのくらい時間がかかったかを見ることで、ユーザーにとっての実際の使いやすさを知ることができます。
テスト結果の意味を理解することで、カテゴリツリーを改善する糸口が見えてくるでしょう。